マイナンバーカードを使ったキャッシュレス決済のポイント還元「マイナポイント事業」が9月1日から始まる。だが、申し込んだ人は300万人程度にとどまっており、盛り上がりを欠く。キャッシュレス決済の9割を占めるクレジットカード会社の多くが不参加を表明したためだ。背景には政府とカード会社との間の溝を指摘する声もあり、同事業をマイナンバーカード普及の起爆剤と考えた政府の思惑が狂い始めている。

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マイナポイントのホームページ。事業開始当初、トラブルが多発した

 総務省によると、8月25日時点で申し込んだ人は329万人。政府は4000万人の申し込みを見込んで2020年度予算に2478億円を計上しているが、1割にも満たない状況だ。

 背景には、カード会社の不参加がある。総務省によると、マイナポイント事業に参加するカード会社は楽天カードや三井住友カードなど23社。250社を超すカード会社全体の1割程度にとどまり、JCBや三菱UFJニコス、クレディセゾンなど大手も参加を見送った。

 業界関係者は「多くのカード会社が(昨年10月から今年6月まで実施した)キャッシュレスポイント還元事業で、ポイント還元には懲りている」と語る。同事業は対象店舗でキャッシュレス決済を行えば国から決済額の2%か5%のポイントがもらえることから大きな注目を集めたが、カード会社には思ったような恩恵が及ばなかったからだ。

 もともと、キャッシュレス還元事業には多くのカード会社が乗り気ではなかった。数千万円ともされるシステム改修が必要となるためで、政府の要請を受ける形で参加した経緯がある。

 カード会社にとって不運だったのは、キャッシュレス還元事業の時期に、ペイペイなどQRコード決済事業者によるキャンペーン合戦が活発化したことだ。各社が生き残りをかけて決済金額の20%をポイント還元するなど、利益度外視のキャンペーンを展開。国のポイントに加えて事業者からも多額のポイントが得られることから、多くの人がQRコード決済を利用した。

 さらに、政府は6月、決済事業者が店舗から徴収する決済手数料の開示を決めた。開示することで手数料を引き下げ、店舗がキャッシュレス決済を導入しやすくする狙いだったが、手数料はカード会社の重要な収益源。関係者は「国が相手なので表立っては言わないが、カード会社の多くは裏切りだと感じている」と話している。(蕎麦谷里志)

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2020.8.31 07:35
SankeiBiz(サンケイビズ)
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