安倍晋三首相は7日、政府の新型コロナウイルス感染症対策本部で特別措置法に基づく緊急事態宣言を発令した。感染が急拡大している東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県が対象で、5月6日まで効力がある。

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緊急事態宣言の発令は初めてとなる。宣言を受け、7都府県の知事は外出自粛や営業休止などを住民や企業に要請する。

首相は「国民の行動を変えることが最も重要だ。人と人との接触を最低7割、極力8割削減することができれば、2週間後には感染者数の増加をピークアウトさせ、減少に転じさせることができる」と述べた。

米欧では強制力がある外出禁止令などを出す例が多い。日本の外出自粛要請には強制力がなく、住民の自発的な対応が不可欠になる。外出や往来が減らなければ感染が広がり続け、宣言の期間延長や対象地域の追加に追い込まれる懸念もある。

今回の宣言に伴い、政府は今後の対処方針を決めた。住民の外出自粛に加え、帰省など県外への移動を極力避けるよう求めた。食料品など生活必需品を買い占めないよう呼びかけた。「都市封鎖(ロックダウン)は実施しない」とも明記した。

発令を受け7都府県の知事は政府の対処方針に沿って外出自粛などを求める。知事は学校の休校や娯楽施設などの休業を求めることもできる。多くの人が集まる百貨店やカラオケボックス、パチンコ店などが対象になる。イベントの開催自粛も要請できる。

いずれも強制力はないが、正当な理由なく応じなければ「要請」より強い「指示」を出し企業名を公表する。

発令後も鉄道やバスなど公共交通機関は運行を続ける。食料品や医薬品などの生活必需品を扱うスーパーマーケットやドラッグストアも営業する。最低限の生活を維持しながら、人と人が接触する機会を減らして感染拡大の抑制につなげる。

2020/4/7 17:44 (2020/4/7 18:19更新)
日本経済新聞
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