首都圏の新築マンションの価格上昇が止まらない。不動産経済研究所(東京・新宿)が22日に発表した2019年の平均価格は18年比1.9%上昇の5980万円とバブル最盛期以来29年ぶりの高水準となった。一方、価格の高止まりで売れ行きが鈍化しているのが影響し、発売戸数は15.9%減の3万1238戸と27年ぶりに3万5000戸を下回った。

発売戸数は20年も3万戸台前半にとどまる見通しで、市場は「低位安定」が続きそうだ。

19年の首都圏(1都3県)の平均価格は1990年(6123万円)に次ぐ過去2番目の高水準。エリア別にみると、東京都区部が2%上昇の7286万円。このほか都下が4.8%上昇、埼玉県が4.8%上昇、千葉県が2.2%上昇と神奈川県を除き18年を上回った。近年、不動産各社は人気が高い都心部や駅近の好立地に発売物件を集中。都心部の土地代や建築コストの高まりもあって価格が上昇している。

首都圏の初月契約率は0.5ポイント上昇の62.6%と好不調の目安の70%を4年連続で下回った。不動産経済研究所の松田忠司主任研究員は「価格上昇で購入検討者の慎重姿勢が強まっている」と分析する。売れ行きが鈍いため、不動産各社は在庫の圧縮を優先し、発売戸数は3年ぶりの減少。人気の低い物件を値下げする一部の不動産会社の動きもみられたという。

同研究所は20年の発売戸数を2.4%増の3万2000戸と予測。大型物件の発売が予定されているものの、建築コストや土地代が高い状態が続き、不動産各社が立地を厳選する傾向は変わらないとみる。価格が下がる要因は少なく、20年も市場の売買は盛り上がりを欠きそうだ。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54703700S0A120C2TJ1000/