東北地方の男性が、ツイッター社に過去の逮捕歴を巡る投稿の削除を求めた訴訟の判決で、東京地裁は12日までに削除を命じた。最高裁は2017年、グーグルを巡る同種裁判の決定で、公表の利益よりプライバシーの保護が「明らかに優先される場合」に限り削除が認められると判断したが、地裁は「グーグルのような情報流通の基盤になっていない」とし、より緩和した要件で削除を認めた。

男性の代理人の田中一哉弁護士は「画期的な判決だ」と評価している。

地裁の谷口安史裁判長は「逮捕から期間が経過し、公表の公益性は相当減少している」と指摘。「公表されない法的利益は、公表を続ける必要性に優越する」と述べ、最高裁が示した「明らかな優先」までは求めない判断をした。

判決によると、男性は女湯の脱衣所に侵入したとして建造物侵入容疑で逮捕され、報道機関の記事の転載とともにツイッターに投稿された。男性はその後、略式命令を受けて罰金を納付。面接の際に逮捕歴が判明して不採用になったこともあった。

ツイッタージャパンは「個別の件にはお答えできません」としている。

〔共同〕
2019/10/12 9:47
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO50931630S9A011C1CE0000/