あまりに”残念な勘違い”を象徴しているのが、「働き方改革」です。

残業を減らし、有給休暇を増やす。女性にも高齢者にも、働きやすい環境を作る。
そうすれば、労働者のモチベーションが上がって、これまで以上によく働く。
その結果、会社の業績も上がるので景気がよくなる。

驚くほど楽観的というか、ご都合主義な考え方です。
繰り返しますが、この程度の施策で巨大国家の経済が上向くのなら、
日本はとうの昔にデフレから脱却しています。
20年も経済成長が滞っているという事実こそが、
労働者個人の頑張りでどうにかなる問題ではないことを雄弁に物語っているのです。

日本では「徹底的な要因分析」をしないという事情があります。
この30年、多くの日本人と議論を交わして気づいたのは、
経済の専門家を名乗る人たちでさえ、
起きている現象についての知識はすごいものの、
その原因を徹底的に追求することはほとんどありません。
原因の説明は表面的な事実をなぞるだけで、
「なんとなくこういう結論になるだろう」と直感的な分析をしているのです。

東洋経済オンライン 2019/10/03
https://toyokeizai.net/articles/-/305116?page=3