韓国サムスングループの医薬品受託製造会社サムスンバイオロジクスの粉飾会計事件で、韓国検察は8日、サムスン電子の役員2人の逮捕状を裁判所に請求した。聯合ニュースが伝えた。2018年11月に始まった捜査は急展開し、グループの中核企業であるサムスン電子を巻き込む事件に発展する可能性が出てきた。

検察はサムスン電子のセキュリティー担当の常務とグループ内の連絡を担う常務の2人に関し、証拠隠滅と同教唆の容疑で逮捕状を請求した。2人は、サムスンバイオロジクス社員に粉飾会計に関するデータの入ったサーバーを隠すよう指示していたという。検察は同社員を9日未明までに証拠隠滅の容疑で逮捕した。

サムスン電子役員が逮捕されれば、サムスンバイオロジクスの粉飾会計は、グループ企業1社にとどまらない事件との様相が濃くなる。

韓国メディアは、サムスンバイオロジクスのサーバーやパソコンなどから、グループを率いる李在鎔(イ・ジェヨン)サムスン電子副会長や朴槿恵(パク・クネ)前大統領を表す単語が削除されていたことを検察が確認した、とも報じている。

検察は、サムスンバイオロジクスの粉飾会計事件と、李副会長が朴前大統領への贈賄の罪を問われている事件との関連に関心を寄せている、との見方もある。

検察はサムスンバイオロジクスの粉飾会計をめぐり、4月末に同社子会社の幹部2人を関連書類やデータを消去した疑いで逮捕していた。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO44544070Y9A500C1FF8000/