日本の新興家電メーカー・バルミューダと、英ダイソンが韓国での販売拡大を競っている。GDP世界12位、人口約5100万人の韓国は、市場としては決して大きくない上に、少子化も急速に進む。さらに、世界的電機メーカー・サムスン電子のお膝元でもある。この厳しい市場で日本などの家電メーカーが勝負をかけるのはなぜか? 世界の家電市場に詳しいフリー編集者の滝田勝紀氏が解説する。

バルミューダ、ダイソンが韓国で新製品発表
 2月12日、トースターや炊飯器などで知られる日本の新興家電メーカー・バルミューダが、空気清浄機の新モデル『BALMUDA The Pure』を発表した。

 前モデルの発売から約7年ぶりの新モデル。その発表場所に選んだのは、ソウル近郊のホテルだった。 

 同じ日、掃除機などで有名な英国の家電メーカー、ダイソンのデスクライト『Dyson Lightcycle task light』の発表会も、韓国で開催された。

 デザイン性や機能性に優れた製品づくりでブランド力を高める家電メーカー2社が相次いで韓国での新商品を発表したのだ。両社にはどんな思惑があるのだろうか。

売れている国から徹底的に攻め落とす
 3人に1人が花粉症に悩むと言われる日本では、桜の開花目前のこの時期に、人々の空気清浄機への関心がもっとも高まるとされる。

 一方、お隣の韓国では、毎年10月から翌年4月にかけて、人々が空気に対して敏感になるという。

 その要因とされるのが、日本でもよく知られるPM2.5だ。中国から飛来するものと推測されるが、韓国の知人に聞くと、飛散がひどい時には、子どもを外で遊ばせないようにしたり、外出時にマスクを着けたりしなければならないという。隣の建物が見えなくなる日もあるそうだ。

 こうした環境問題などを背景に、バルミューダ製空気清浄機の一つ前のモデルである『Air Engine』は、2013年に韓国で販売を開始して以来、毎年、日本を上回る売り上げを記録してきた。

 バルミューダは、03年に創業した新興電機メーカーだ。主力商品はトースターや扇風機、空気清浄器などで、他のメーカーとは一線を画すデザイン性と機能性を併せ持つ製品が売りだ。18年の売上高は111億6500万円に上った。

 同社の製品が韓国で知られるようになったきっかけは、米国在住の韓国人が発信しているブログだとされる。ある「インフルエンサー」(ネット上で強い影響力を持つ人)が「良質な家電」としてAir Engineを紹介したところ、インターネット通販などで先行販売用として用意した300台が、わずか15分ほどで売り切れたという。バルミューダの海外セールス担当者は「韓国で空気清浄機が強く求められることがわかった」と語っている。
以下ソース
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190330-00010000-yomonline-bus_all