内閣府と財務省が12日発表した法人企業景気予測調査で1〜3月期の大企業製造業の景況判断指数(BSI)はマイナス7.3となり、前期の2018年10〜12月期(プラス5.5)から大きく低下した。中国経済の減速を受けて、日本の輸出や生産が落ち込んでいる状況を映した。好調を保っていた設備投資も19年度は鈍化する見通しだ。

景況判断指数は「上昇」と答えた企業と「下降」と答えた企業の割合の差から算出する。調査は2月15日時点の内容。非製造業を含む大企業全産業のBSIは前期から6ポイント低下してマイナス1.7となった。下げ幅の大きさとしては16年1〜3月期以来3年ぶりの水準だ。

このところ日本の景気を引っ張っている設備投資は、18年度は前年度比7.4%増と堅調だった。なかでも製造業は17.2%増と好調さが目立つ。だが調査によると19年度は全産業で6.2%減となった。年度が始まる前は設備投資計画をつくっていない企業もあり、慎重さが目立つ傾向がある。ただ18年度からの鈍化は避けられそうにない。

背景にあるのは企業収益の落ち込みだ。18年度の経常利益は全産業で前年度比1.7%減で、製造業では5.8%減る。ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎経済調査室長は「収益が頭打ちになり、企業は設備投資の抑制に動いている」と分析する。中国では米中貿易摩擦や自国経済への先行き不透明感から設備投資や生産が控えられている。

内閣府が7日公表した1月の景気動向指数は、景気の現状を示す一致指数が3カ月連続で低下した。機械的に決まる基調判断は「下方への局面変化」に変更され、景気後退の可能性を示唆する表現になった。官民で景気の見方は割れているが、今回の法人企業景気予測調査は当面の先行きは改善するとみる企業が多いことを示した。

同調査の4〜6月期の見通しでは大企業製造業はマイナス2.3にマイナス幅を縮小し、7〜9月期ではプラス5.7に転じる。世界経済の減速で、日本にも輸出や生産の面で悪影響が出ている一方「雇用や消費はある程度の強さがある」(みずほ総合研究所の有田賢太郎上席主任エコノミスト)ため、悪化するばかりではないとの見方だ。

10月の消費増税を控え、駆け込み需要も予想されるほか、政府の反動減対策もあり、景気にプラスの材料も少なくない。中国政府も一段の景気減速を食い止めようと、景気下支え策を打っている。(竹内康雄)

2019/3/12 19:00
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO42359910S9A310C1EE8000/