内閣府と財務省が12日発表した法人企業景気予測調査によると、1〜3月期の大企業全産業の景況判断指数(BSI)はマイナス1.7だった。マイナスは3四半期ぶり。中国経済などの減速が日本の輸出や生産に波及し、企業心理が悪化していることを映した。一方、先行きは4〜6月期がマイナス0.3、7〜9月期はプラス5.7と改善を見込む企業が多い。

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景況判断指数は「上昇」と答えた企業と「下降」と答えた企業の割合の差から算出する。調査は2月15日時点の内容。前回調査の10〜12月期はプラス4.3だった。マイナス6という下げ幅は16年1〜3月期(7.8)以来の大きさだ。

BSIの内訳をみると、製造業がマイナス7.3と前回のプラス5.5から大きく低下した。中国では米中貿易摩擦や自国経済の先行き不透明感から投資や生産が手控えられており、機械や部品を輸出・生産する日本企業の景況感が悪化したようだ。非製造業は前期に続きプラスを維持した。

中堅企業(資本金1億円以上10億円未満)は製造業、非製造業とも前期はプラスだったが、1〜3月期はマイナスに転じた。前期に既にマイナスだった中小企業(資本金1千万円以上1億円未満)は1〜3月期はマイナス幅を広げた。

ただ先行きは改善するとみている企業が多い。米国の政府閉鎖の影響が薄らぎ、中国が景気刺激策を講じるなど海外経済が改善することに加え、「消費増税の駆け込み需要も見込めるため、先行きは楽観しやすい」(農林中金総合研究所の南武志主席研究員)。

設備投資については2018年度は前年度比7.4%増える見込みだが、19年度は6.2%減と減少に転じる見通しだ。

経常利益の見込みでは、18年度は全産業で前年度比1.7%減る。上期の1.4%増とは対照的に下期には4.9%減となり、企業業績が減速していることが鮮明になっている。19年度は0.4%減の見通し。

2019/3/12 10:51
日本経済新聞
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