丸井グループは性別にとらわれずに買い物ができるとうたう売り場を有楽町マルイ(東京・千代田)に期間限定で開いた。靴やスーツのサイズを幅広く扱い、男性向け、女性向けといった区別を設けない。誰でも入りやすい売り場を通じて、これまで同店に訪れなかった消費者の関心を呼ぶ狙いだ。

同店の8階にオープンした「GENDER FREE HOUSE(ジェンダーフリーハウス)」は、3月3日までの期間限定。性別や世代の区別なく、自由な着こなしを楽しめる衣類など約300点を集めた。

スポーツブランドなどのカジュアルな衣料品はメンズ、レディースを分け隔てなく並べた。丸井のプライベートブランド(PB)で展開する靴やビジネススーツのパターンオーダーも扱う。靴は19.5〜27センチメートルのパンプス、22.5〜30センチのビジネスシューズを用意。スーツは145センチメートルから190センチメートルまで対応する。

商品は全て丸井のネット通販で購入できる。接客は顧客から要望があった場合のみ対応する。試着室は家族やパートナーと一緒に入れる広いスペースを確保。着替えた姿を外部の人に見られないようにすることで、顧客が試着に抵抗感を感じないよう配慮した。

化粧品では資生堂がメークレッスンを提供。仕切りを設けた一角でスキンケアや化粧プロの指導を受けられる。

丸井のPBはサイズ展開を幅広く設けているのが特徴。通常のブランドではサイズが見つけられない人をカバーする狙いだったが、トランスジェンダー(出生時の性と自身が認識する性が一致しない人)からの支持も多く集めていたという。

これを受けて同社は昨秋、ジェンダーフリーファッションを扱うプロジェクトを立ち上げた。まずは性別ごとのデザインの差が少ないカジュアル衣料を中心に始めたが、「今後は取り扱うジャンルを増やしたい」(プロジェクト担当の畔高みどり課長)という。

丸井グループのサステナビリティ部マルイミライプロジェクト担当の井上道博課長は「これまでは売り場が男性向け、女性向けを提示してきたが、顧客のなりたい自分を制限してきた。失われていた新たな消費を呼び込むきっかけにしたい」と意欲を見せた。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41444050Z10C19A2000000/