茂木敏充経済財政・再生相は2019年1月28日、国会の演説で「本年(2019年)夏までに、65歳以上への継続雇用年齢の引き上げに向けた検討を進める」と述べた。政府は何歳になっても働き続けられる社会を目指す方針を示しており、2019年にその動きを加速させる。だが、システム開発の現場では、50代以上のいわゆる「シニアSE」が敬遠される状態が続く。そんな中、中小ソフト会社で作る業界団体「ユーオス・グループ(UOS)」は、シニアSEが開発現場のリーダーから嫌がられる原因に関する調査結果と、それに対する解決策をこのほど明らかにした。

 UOS関東支部の高齢IT技術者問題タスクチームの山中進議長(エム・アンド・アイ会長)は取材に対し「プロジェクトのリーダーに嫌がられて、参加機会を得られないシニアSEが出ている」と話す。

 こうした状況は、シニアSE本人の雇用を奪う一方で、中小ソフト会社にとっても経営的なダメージとなる。「中小ソフト会社は、特に深刻だ。プロジェクトに参加せず、稼働しないシニアSEが少人数でもいると経営を圧迫する」(山中議長)。

 そこでUOSのタスクチームは2018年6月、シニアSEが現場のリーダーから嫌がられる原因を明らかにするためのアンケート調査を実施した。その結果、UOS会員企業310社(調査時点)のうち、96社から回答を得たという。調査結果は2018年11月に関係者向けのイベントで公表されていたが、このほど一般向けに初めて公開した。

 タスクチームが回答内容を分析し、シニアSEが嫌がられる要素で分類したのが下のグラフだ。トップは「頑固で使いづらい」で35%を占めた。2番目は「リーダーや他のメンバーとの年齢差が大きい」の21%、3番目は「生産性が低い」の16%、4番目は「健康面に不安がある」で13%、5番目は「コミュニケーションを取りづらい」の9%だった。
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注目すべきは「頑固で使いづらい」や「リーダーや他のメンバーとの年齢差が大きい」といった、技術スキルとは関係のない要素が過半数を占めることだ。「スキルがあるにもかかわらず、高齢というだけで活躍の場を奪われているシニアSEが相当数いる」(山中議長)。
以下ソース
https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/column/18/00001/01603/