【シリコンバレー=佐藤浩実】米アップルが1日発表した7〜9月期決算は純利益が前年同期比31.8%増の141億2500万ドル(約1兆5919億円)、売上高が同19.6%増の629億ドルだった。増収増益は7四半期連続。ただ、販売台数は前年比横ばいの4689万台。市場予想の4750万台に達せず、株価は時間外取引で一時、5%下落した。

アップルは今秋に「XS」など3機種のiPhoneを発表。7〜9月期の業績には画面が6.5インチと大きい「XS Max」(1099ドルから)など9月21日に発売した2機種が貢献する。価格帯を引き上げたことで平均販売価格は前年よりも28%高い793ドルに上昇し、市場予想の751ドルも大幅に上回った。一方で、高級路線の反作用で販売台数は伸びなかった。

7〜9月期に目立ったのは9月に大幅なデザイン変更をしたアップルウオッチを含む「その他」の部門だ。イヤホンの「エアポッズ」やコード類も合わせた同部門の売上高は42億3400万ドルと前年を31%上回った。アップルが力を入れる音楽配信などのサービス部門は17%増の99億8100万ドルだった。

一方で、多くの投資家が注目したのはアップルの売上高全体の約2割を占める中国の動向だ。売上規模は16%増の114億1100万ドルと5四半期連続で前年同期を上回ったものの、市場では米中貿易戦争や中国景気の減速を懸念する声が強まっている。アップルは鉛筆型入力機器「アップルペンシル」や一部のケーブル類が対中追加関税の対象となっている。

10〜12月の市場予想は890億〜930億ドルと前年の横ばいから5%上回る水準を見込む。iPhoneの液晶モデル「XR」の販売が本格化するほか、10月31日に発表した「iPadプロ」や「マックブックエア」が売り上げに貢献する見込みだ。
2018/11/2 6:08
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