ウェブセキュリティ関連の事業を手がけるImpervaは米国時間9月26日、セキュリティインシデントに関する統計を発表した。それによるとPythonがホワイトハッカーとブラックハッカーに人気のプログラミング言語になっているという。なおPythonは、TIOBEが集計した同月のプログラミング言語人気インデックスで初の3位にランクインしている(1位はJava、2位はC)。

 Impervaは、同社が保護しているサイトに対して日々仕掛けられてくる攻撃の3分の1以上が、Pythonを使って記述されたツール(悪意を持ったツールや合法的なツールを含む)を使用したものだと述べている。

 Impervaは、同社が保護しているサイトの約77%が、1つ以上のPythonベースのツールに攻撃されているとしている。

 また、ハッカーが攻撃に使用しているツールを見ると、その4分の1以上がPythonを使ってコーディングされたものとなっており、攻撃者の間で突出した人気を誇っている。
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 Impervaの調査チームによると、「開発者と同様、ハッカーはPythonのメリットを享受しているため、同言語がハッキング用ツールとして普及している」という。

 Pythonのメリットには、構文の把握しやすさのほか、さまざまなオンラインチュートリアルや、膨大な数のライブラリ、出来合いのツールが利用できるPython Package Index(PyPI)やGitHubといったリポジトリの存在がある。

攻撃者が利用する、Pythonで記述されたツールの多くは、合法的なアプリ内で使用するため、あるいはセキュリティ研究者らが自らのシステムをテストし、さまざまな脆弱性の有無を確認するために開発されたものである場合も多い。

 こういったテストツールがGitHubに登録されると、世界中に公開されてしまう結果、ハッカーの目にとまり、当初の目的とは違ったかたちで悪用されるようになってしまうのだ。

 Impervaのデータによると、最も悪用されているPythonモジュールは、「requests」と「urllib」ライブラリだという。この2つは、多くのPythonウェブアプリの要となっている。

 Impervaによると、攻撃者は、「CVE-2017-9841」(PHPUnit関連)、「CVE-2015-8562」(Joomla関連)、「CVE-2018-1000207」(MODX Revolution関連)などの脆弱性を悪用しているという。

 オンラインに公開しているウェブアプリやウェブサーバ、ウェブサイトを運用している人は、GitHubからダウンロードしたPythonツールを使う技術力の乏しい攻撃者にサーバが狙われているものと、心しておいたほうが良い。PythonはJavaのようにさまざまに利用されているが、善人にとっても悪人にとってもJavaより学習しやすい言語であることを考えると、これは驚くことではない。
https://japan.zdnet.com/article/35126329/