日立製作所とソニーは25日、家電販売と修理サービスなどで連携を強化すると発表した。日立系列の地域家電店でまずソニーのテレビを10月中旬から販売し、さらにブルーレイレコーダーやホームシアターなどの映像機器へも広げる計画。一方、日立ブランドのテレビ「Wooo(ウー)」の国内販売を打ち切る。家電事業を縮小したため品ぞろえを強化したい日立と、販路網を広げたいソニーの思惑が一致した。

 両社は2017年から家電の出張修理サービスなどで協業を始めており、今回の連携強化はこの枠組みを拡大。両社の完全子会社である日立コンシューマ・マーケティングと日立アプライアンス、ソニーマーケティングが協力する。

 日立は12年にテレビの自社生産を終え、他社に生産委託したテレビを自社ブランドで販売してきた。一方、ソニーは有機ELテレビの国内シェアでパナソニックと競り合い、海外勢の追い上げにもさらされている。

 両社が連携を強化したのは、今年12月に始まる4K・8K放送により高精細な有機ELテレビへの買い換え需要が見込まれることや、東京五輪・パラリンピックへ向けた商戦を念頭に置いたものだ。

 日立の系列店「日立チェーンストール」が全国に約4000店あるのに対し、ソニーの「ソニーショップ」は約450店にとどまる。一方で日立はレコーダーなどから撤退しており、「系列店からは『映像関連の品ぞろえを充実させてほしい』との声が出ていた」(同社)という。

 調査会社BCNの森英二アナリストは「地域密着型の系列店はシニア層などの支持が根強く、連携強化の効果は小さくない」と分析する。(山沢義徳)
2018.9.26 06:13
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