水産資源や海洋問題に対して企業と科学者が議論する国際会議「キーストーン・ダイアローグ」が3日から日本で始まった。マルハニチロや日本水産など国内外の水産大手11社の経営者が一堂に会し、持続可能な水産資源の利用や、プラスチック汚染の削減などの目標を設定する。世界的に天然の水産資源が減少する中、科学的知見に基づいた水産活動のあり方を議論する。

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水産資源のあり方について経営者と科学者が議論する(右からマルハニチロの伊藤社長、日水の的埜社長、極洋の井上社長。2日、東京都港区)

 同会議はスウェーデンの水産資源問題に取り組むレジリエンス・センターが主催する。今回で3回目。4日まで軽井沢で国際会議を開く。数値目標などは会議が終了した後、公表する方針。

 マルハニチロの伊藤滋社長は「将来の日本の漁業は沿岸の養殖がポイントになってくるが、法律の壁がある。国際会議で世界基準で議論し、日本へもメッセージを発信したい」と強調した。

 日本水産の的埜明世社長は「調達する魚のトレーサビリティー(生産履歴の管理)を明確にするなど、持続可能な水産業を経営方針にも取り入れている。マイクロプラスチックの削減なども協力していきたい」と話した。

 世界の漁業生産量は天然資源が約9000万トン、養殖が約1億1000万トン。天然資源は今後、増えることは難しい。伊藤社長は「(環境に配慮した水産物であることを示す)国際基準を取得した水産物の流通が欧米に比べ遅れている」と話し、消費者に対して認知度を高めていく方針も示した。

2018/9/3 14:06
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO34904360T00C18A9XQH000/