元早稲田大学教授植草一秀メルマガ・第2142号 ハゲタカファーストを保守政治とは言わない2018年9月19日(無断コピペ)

@私たちはアベノミクスの実像を知らなければならない。

その意味では自民党党首選挙にも一定の意味があると言える。

この党首選に立候補しているのは現職の安倍晋三氏と石破茂氏の2名だ。

安倍晋三氏は3選を目指している。

メディアは「安倍一強」と表現するが、実態は薄氷の上の安倍内閣である。

総選挙では主権者の半分が選挙に行かず、選挙に行った主権者の半分弱しか安倍自公に投票していない。

投票した主権者の半分強は反自公勢力に投票している。

自公側と反自公側がそれぞれ一つにまとまれば、ほぼ互角。

反自公側が政権を奪取する可能性が十分にある状況なのだ。

自民単独で見れば、全主権者の17%程度しか自民党には得票していない。

日本最強の結束力を持つ創価学会が自民党の支援をして、初めて安倍自民は政権を獲得できているのである。

その薄氷自民党の党首が安倍晋三氏なのだが、本音では自信がまったくないのだろう。

石破氏を支持する現職閣僚に辞職を迫る、石破氏を支持する県議に側近を通じて圧力をかける、現職の国会議員に安倍支持の誓約書を提出させるなど、はたから見てももの悲しさが充満する狼狽ぶりを示している。

「一強」と言いたいなら泰然自若とした対応を示すべきだろう。

また、石破氏が徹底討論を求めるなら、いくらでも受けて立つという堂々とした振る舞いを示すべきだ。

それが横綱相撲というものだ。

実態が平幕なのに横綱相撲を示せと言っても無理なのかも知れない。

この自民党党首選に石破茂氏が出馬したことによって、初めてアベノミクスの化けの皮が主権者の前で剥がされた。

党首選での投票権を持つ自民党支持者が、この現実をどう受け止めるのかが焦点だが、自民党員も、不都合な真実に目をつぶり、新興宗教の信者のように、思考停止で教祖を崇めるスタンスを修正するべきだろう。

党首選での自由で闊達な論議を封じ込めるのでは、「自由民主党」という党名は変更すべきということにもなる。

自民党の党首選は、日本の行政トップ=内閣総理大臣の選出を兼ねているから、自民党支持でない主権者にとっても重要なイベントである。

主権者国民にとっては、何よりも自分たちの生活、国民経済が重要である。

小沢一郎氏は「国民の生活が第一」の路線を打ち出し、これが民主党大躍進の原動力になった。

しかし、アベノミクスによって「国民の生活が台無し」の現実が広がってしまっている。