【ワシントン=鳳山太成】北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉を巡り、米国とカナダは29日、2日目の協議に入った。トランプ米大統領は交渉の見通しについて「カナダは非常に合意したがっている」と指摘した。米政権が期限に設定する31日が迫るなか、メキシコを含む3カ国での協定妥結に向けてぎりぎりの交渉が続いている。

 カナダのフリーランド外相は29日夕(日本時間30日朝)、米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表と同日2回目の会談を開いた。記者団に対し「いまは非常に重要な局面だ。多くの課題にとても非常に速やかに取り組もうとしている」と指摘、徹夜で事務レベルの交渉に取り組むと強調した。

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貿易交渉のため米通商代表部(USTR)に到着したカナダのフリーランド外相(29日、ワシントン)=AP

 トランプ氏は29日、記者団に「カナダは(米国とメキシコの)合意に加わることを望んでいる。(31日までの交渉期限に向けて)我々はおそらくうまく進んでいる」と述べた。

 一方、カナダのトルドー首相は29日の記者会見で「31日までに合意する可能性はあるが、あくまで可能性だ。最終的にはカナダにとって良い合意かどうかで決まる」と述べた。「悪い合意なら、合意しないほうがマシだ」とクギを刺した。トルドー氏は2019年に総選挙を控えており、トランプ政権に弱腰の姿勢をみせれば有権者の反発を招きかねないとの判断もあるとみられる。

 米国とカナダの交渉は農産物や医薬品、紛争解決処理制度などが争点だ。トランプ氏が望む米国産乳製品への市場開放にカナダがどこまで譲歩するかなどが交渉の行方を左右する。自動車分野では両国の意見はおおむね一致しているようだ。

 NAFTA再交渉を巡っては米国とメキシコの両政府は27日、2国間で大筋合意した。トランプ政権は31日までにカナダとの3カ国合意をまとめて、交渉結果を議会に通知する方針だ。

 米国はカナダとの交渉が難航した場合は、同国抜きの2国間協定として発効を目指す可能性にも言及。カナダからの輸入車に25%の高関税を課す方針もちらつかせ、譲歩を迫っている。

2018/8/30 6:39 (2018/8/30 12:19更新)
日本経済新聞
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