日本原子力研究開発機構は30日午前、廃炉が決まった高速増殖炉原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の使用済み核燃料の取り出しを始めた。一時保管する貯蔵槽の液体ナトリウムに浸っている核燃料を取り出して洗い、水の入ったプールに移す。当初は7月中に作業を始める予定だったが、機器の点検でトラブルが相次ぎ、8月に延期していた。

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廃炉作業の準備が進む高速増殖原型炉もんじゅの原子炉上部(6月、福井県敦賀市)=共同

 機構は2047年度まで30年をかけ、4段階に分けてもんじゅの廃炉を完了させる計画。使用済み核燃料の取り出しは廃炉作業の最初のハードルとなる。もんじゅには、原子炉内に370体、炉外の貯蔵槽に160体の核燃料が保管されている。

 計画では、貯蔵槽にある燃料を1日1体のペースで取り出し、年内に100体をプールに運ぶ。19年度には原子炉内の燃料取り出しも始め、22年度までに全ての核燃料をプールに移す。液体ナトリウムは空気や水に触れると激しく燃えるため、密閉した空間で機械を使って作業する。

 もんじゅは1995年にナトリウム漏れ事故を起こし、長期間停止した。2010年に運転を再開したが、核燃料の交換に使う装置が落下するなど事故やトラブルが相次ぎ、政府は16年に廃炉を決めた。

2018/8/30 9:58
日本経済新聞
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