米Googleとその系列人工知能企業DeepMindは8月17日(現地時間)、自社のデータセンターにおけるAI(人工知能)採用の進捗について説明した。

 同社は2016年、データセンターの冷却システムにAIを採用した結果、電力を約40%削減できたと発表した。

 だがこの段階では、AIは対策を推奨するだけで、そのアドバイス通りに実行するのはかなり手間がかかるとデータセンターのオペレーターからのフィードバックがあった。そこでDeepMindはアドバイスではなく、AIが直接冷却システムを制御できるよう改良したという。

 まだ利用を開始してから数カ月しかたっていないが、既に平均して約30%の省電力化を実現した。学習データが増えるほどシステムは向上することから、今後省電力化はさらに進むと同社はみている。
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 大まかな仕組みは、クラウドベースのAIが、データセンター内の冷却システムに設置した数千個のセンサーから5分ごとにスナップショットを収集しそれをDeepMindのディープニューラルネットワークに送り、ディープニューラルネットワークが最適解を決めてデータセンターに送る。この決定はデータセンター側の制御システムで確認されてから実装される。
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 AIはデータから10億もの解決策候補を編み出すが、信頼性を算出し、信頼性が低いと判断した解決策は排除する。

 また、安全性のため、実装までに2段階の確認作業を組み込んでいる。AIが選んだ最適解は、データセンターのオペレーターが定義した安全上の制約リストに照らし合わされ、さらにローカルの制御システムもこの解を検証する。さらに、データセンターのオペレーターはいつでもAI制御モードを解除できるようになっている。

 GoogleとDeepMindは、「データセンターは始まりにすぎない。この技術は他の状況でも利用できる可能性を持っている」としている。
2018年08月20日 14時30分
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