スルガ銀行(静岡県沼津市)のシェアハウス関連融資で、同行の行員がダミー会社を次々に設立して融資を拡大させていた実態が10日、明らかになった。ある不動産業者が販売するシェアハウスへの融資を当時の幹部が禁じたものの、別会社の案件のように装い行内審査をくぐり抜けていた。

企業統治の機能不全ぶりをうかがわせる内容で、弁護士らで構成する同行の第三者委員会も調査を通じ、こうした実態を把握しているもよう。組織ぐるみかどうかも含めた全容と改善策を盛り込んだ報告書を月末までにまとめる。

家賃の安さが魅力のシェアハウスは若者の間で人気がある。これに目を付けた不動産会社が投資物件として個人に販売。同行などがこうした個人投資家に購入資金を融資した。同行のシェアハウス関連融資は2014年後半から急増した。

関係者によると、15年2月ごろ、ある不動産業者の資質を問題視して告発する文書が同行や金融庁に届いた。これを創業家出身の岡野喜之助副社長(当時、故人)が知り、この業者が絡む融資をやめるよう指示した。

だがごく短期間の停止後、ある支店長(当時)の指示により、実際にはこの業者が販売したシェアハウス案件なのに、ダミー会社を使って別会社の案件と偽り融資を再開。審査部門に見つかると、新しいダミー会社を次々作って、シェアハウス関連融資を続けたという。

同行は、17年10月にシェアハウス向けを含む不動産担保ローンの審査要件を厳格化したが、一部のシェアハウス向け融資は同年12月まで続いたもようだ。こうした融資では、外部にローンの審査基準が漏れたずさんな事例も多数見つかっている。(2018/08/11-07:53)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018081001247&;g=eco