中川雅治環境相は10日、東京電力ホールディングスと中部電力の共同出資会社JERA(東京・中央)が神奈川県横須賀市で建設を計画する石炭火力発電所について、二酸化炭素(CO2)排出削減への道筋がつかない場合、事業の再検討を含めて考え直すよう求める意見書をまとめた。

 石炭火力発電は国内外の事業環境が極めて厳しく、リスクが大きいと指摘した。

 環境影響評価(環境アセスメント)法に基づき、同日午前に世耕弘成経済産業相に提出した。中川環境相は記者会見で「石炭火力の置かれている状況は非常に厳しい。再検討を含め、あらゆる選択肢を勘案することが重要だ」と述べた。

 JERAは石油などを使った現在の古い火力発電所を、2基計130万キロワットの石炭火力発電所に建て替える計画を検討している。2023年の運転開始を目指している。

 石炭火力は最新鋭の設備でも、発電量あたりのCO2排出量が液化天然ガス(LNG)の2倍となる。温暖化対策に逆行するものとして、環境省は他の建設計画にも懸念を示している。ただ環境省には計画の可否を決める権限はない。

2018/8/10 12:01
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO34039160Q8A810C1CR0000/