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国内で月間7300万人以上が利用しているとされるスマートフォン向け無料通信アプリ「LINE(ライン)」。家族や友人間だけでなく、仕事でも活用されている。ところが、女性を中心に、仕事上の相手からセクハラじみた言葉を投げかけられたり、面識がほとんどない相手から一方的な好意を寄せられたりして不快な思いをするケースも目立つという。そうしたメッセージの傾向や対処法を専門家に聞いた。

1年間にわたってスタンプ送りつけ「会いたい」
 7月6日、東京都新宿区のイベントスペースで「クソLINE研究所」と題する催しが開かれた。実際にあったLINEのメッセージのスクリーンショットが送信者と受信者の名前を伏せてモニターに次々に映し出され、事例が紹介された。

出版社に勤務する20代の女性は、仕事で知り合った広告代理店勤務の男性と「今度、企画会議をしましょう」と言われて、LINEで連絡先を交換。女性が空いている日程を伝えたところ、深夜0時過ぎに目を疑うメッセージが届いた。「何をする予定でしたっけ? エッチ? のみ? お茶?」

女性は「お茶って言いましたよ!笑」と、気を配って「笑」をつけて返したが、男性は「エッチでもいいですよ」とその後もしつこくメッセージを送ってきた。

30代の女性会社員は、飲み会で初めて会った地方在住の男性に「東京に出張したら飲みましょう」と言われ、LINEの連絡先を交換した。「社交辞令」のつもりだったが、数か月後にこの男性が東京に出張で来ると、自身の居場所の写真に「会いたい」という言葉を添えて数時間おきにメッセージを送ってきた。仕事を理由にやんわりと断り続けると、深夜2時前に「机の上の山積みの書類の写真を(残業の証拠に)送ってほしい」とストーカーじみたメッセージが届いた。

 別の20代女性は仕事で「仕方なく連絡先を交換した」という年上の男性から執拗(しつよう)に食事に誘われた。ずっと返信しなかったが、約1年間にわたって断続的に「こんにちは」などのあいさつのスタンプと、「その後(食事は)どうかな?」との問いかけが送り続けられた。

「1対1の密室にいる感覚。心の距離見誤りやすくなった」
 このイベントを主催したのはフリーライターなどで構成されるグループ「桃山商事」。恋愛に悩む若い世代を支えようと、2001年からネットを通じた相談に乗るなどの活動をしており、11年から不快に感じたメールを募集して雑誌などで紹介してきた。近年はメールよりもLINEやフェイスブックのメッセンジャーなどで「こんなひどいメッセージが来た……」と相談を受ける機会が増えたという。

 桃山商事にメールで寄せられたLINEのスクリーンショットは約500枚にのぼる。女性から寄せられたものが大半だったという。その中から約30のやりとりを選んで50人ほどの観客に紹介した。

 桃山商事は男女3人が会社の肩書を模した名前で活動しており、イベント後に清田代表(38)、森田専務(37)の男性2人が取材に応じた。

 司会を務めた清田さんは「なるべく笑えるものを選んだつもりだったのに、イベントの途中からは『ひゃー』と悲鳴が上がるようになった。寄せられた数の多さから考えても、不快なメッセージを送られている女性は多いのではないでしょうか」と話す。

 清田さんとともに事例を分析してきた森田さんも「メールの時代も同じような無理な誘いはありました。でも、チャット(会話)の要素が強いLINEの方が1対1で密室にいる感覚に陥りがちです。心の距離を見誤りやすくなったと思う」と話す。

酔っ払って送信? 時間帯は午後11時以降が多く
 桃山商事によると、送信者、受信者の職業や立場はさまざまだが、セクハラじみたメッセージにはいくつかの傾向があるという。

 まず、送られてくる時間帯は午後11時以降が多い。「酔って送っている可能性が高いのではないか」と清田さんは見る。また、男性側が文末に「笑」などをつけている例も目立つ。「冗談めかそうとしたのだろうけど、冗談なら何を言ってもいいわけではありません」(森田さん)

 そして、メッセージを送った翌日、謝るでもなく、何事もなかったかのように仕事や日常生活の内容を送ってくるケースも多かった。
以下ソース
https://mainichi.jp/articles/20180729/mog/00m/040/007000c