エーザイは26日、開発中のアルツハイマー治療薬の第2相臨床試験(治験)で認知機能の低下を抑える効果を確認したと発表した。認知機能の低下などを30%近く抑えられたとしている。同社はこの結果を受けて、実用化に向けた最終段階の治験に取り組む見通し。

米シカゴで開催中のアルツハイマー病協会国際会議で発表した。米バイオジェンと共同開発する抗体医薬品「BAN2401(開発名)」で、認知症の原因物質とされるタンパク質「アミロイドベータ(Aβ)」除去を狙う。

第2相治験は2012年〜18年にかけ、日米欧などで856人を対象に実施した。エーザイが開発した独自の評価指標で、プラセボ(偽薬)を投与した患者と比べて病気の進行が30%抑えられたという。

エーザイは1997年に国内勢初の認知症薬「アリセプト」を発売し、ピーク時には年3000億円超を売り上げた。アリセプトは症状を和らげるのが限界で、進行を抑える効果はなかった。

アルツハイマー治療薬の開発は、大手各社の失敗が相次いでいる。18年に入り米メルクが「ベルベセスタット」、米イーライ・リリーと英アストラゼネカが「ラナベセスタット」について、十分な効果が見込めないとして最終段階の第3相治験の結果を受けて開発を中止した。

2018年7月26日 8:44 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO33424050W8A720C1000000/