[ファンボロー/シンガポール 17日 ロイター] - 英国で開催中の世界最大級の航空見本市「ファンボロー国際航空ショー」初日に、初の「フライトディスプレー(デモ飛行)」を成功させた国産ジェット旅客機「三菱リージョナルジェット(MRJ)」は、2日目に予定されていたデモ飛行を中止した。MRJを移動する際にけん引車が接触し、機体の一部が損傷したためという。

MRJを開発する三菱航空機は、17日はデモ飛行を中止すると発表。機体の展示は実施することを明らかにした。

MRJは、2008年に開発を始めて以降、納入時期を5度延期している。初号機の納入時期は現在のところ2020年半ばで、ANAホールディングス(9202.T)に引き渡す予定。

度重なる納期延期により、MRJは燃料効率の高いリージョナルジェット(RJ)の最新世代をいち早く売り出す絶好の機会を逃した。

一方、三菱航空機の親会社である三菱重工業(7011.T)の宮永俊一社長は「MRJはここ数十年で最新の機体デザインだ」と述べ、「エンジンや空気力学面において最も新しいタイプのリージョナルジェットで、非常に競争力が高い」と自信を示した。

三菱航空機にとり直近の課題は、米国でRJ機の運航制限を定めたパイロット組合協定の改定の見通しが立っていないことだとアナリストは指摘する。

MRJの確定受注213機のうち、150機は米国の地域航空会社スカイウエスト航空(SKYW.O)とトランス・ステイツ航空からの受注となる。

パイロット組合協定により、地域間を飛ぶRJ機は、座席数などに上限が設けられており、三菱航空機が型式証明の取得を目指している90席級の「MRJ90」はこの制限に引っ掛かる。パイロット不足で組合の交渉力は増しており、改定の見通しは不透明になっている。

そのため、三菱航空機は代わりに70席級の「MRJ70」の開発を急いでいる。

フィッチグローバルは先週公表したリポートで、RJ市場は今後20年で1200億ドル規模に拡大し、70─76席級のRJ機がその40%を占めるとの見通しを示した。

三菱航空機が米地域航空会社に対して、座席数の少ないRJ機に発注を切り替えるよう説得できるかどうかが今後の課題だ。
2018年7月18日 / 10:52
https://jp.reuters.com/article/britain-airshow-mrj-idJPKBN1K8045