0001ラテ ★
2018/07/17(火) 19:22:11.96ID:CAP_USER米国では、信用力の低い個人向けの住宅融資であるサブプライムローン問題が広がり、金融不安から世界的に株価が下落した。火元だった米国では、米連邦準備理事会(FRB)が実体経済への影響を最小限に抑えるため、1月、緊急利下げに踏み切った。
一方、日銀は08年1〜6月の7回の会合でいずれも政策金利を据え置いた。1月の会合で福井俊彦総裁は株価下落について「マインドあるいは資産効果を通じて国内経済に影響を及ぼす面がある」と懸念を示した。ただ「物価安定のもとでの成長軌道をたどるのであれば、金利水準を徐々に引き上げていく方向にある」とも話し、金融引き締めにこだわりを見せた。
その後、欧米の大手金融機関が抱えるサブプライムローンで焦げ付きが多発し、損失が拡大。米景気は急減速し、日本の生産、輸出にも陰りが出始めた。
それでもなお、日銀内では日本経済の先行きについては楽観論が大勢を占めていた。08年3月の会合で福井総裁は「緩やかな拡大が続く蓋然性が高い」と強調した。
08年3月19日には福井総裁の任期が終了。日銀人事案を巡る与野党の対立で、日銀総裁が約3週間不在になる異例の事態を招いた。
米国では証券大手ベアー・スターンズが資金繰りの危機に陥り、金融不安が深刻さを増し、08年4月上旬の会合で白川副総裁は「明らかに下振れリスクにウエイトをかけた方が良い」と指摘。この日、白川副総裁の総裁昇任が決まった。
しかし4月に入って金融市場が落ち着きを取り戻すと、4月下旬の会合で須田美矢子委員は「持続的な成長軌道をたどる蓋然性が高い場合は利上げという考えに変わりがない」と言及。世界的なインフレ圧力への懸念から利上げの必要性を繰り返し説いた。
市場の楽観論にクギを刺していたのは、中曽宏金融市場局長だった。4月会合で「海外金融機関の首脳による『最悪期は脱した』と示し合わせたような言葉を裏付ける材料は多くない」と明言。5月会合では白川総裁も慎重な姿勢を示していた。
米景気の悪化が一巡したとの見方が強く、6月会合になると一転し白川総裁自身が「大手の金融機関が突然破綻することを最悪期、危機だと言っている。たぶん、危機、最悪期は去ったのだろう」と楽観論を披露した。米証券大手リーマン・ブラザーズが米史上最大の負債を抱えて破綻したのはそれからわずか3カ月後のことだった。
2018/7/17 9:01 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO32978800T10C18A7MM0000/