テレビ通販大手のQVCジャパン(千葉市)は21日、12月から高精細な4K放送を始めると発表した。画素数が従来の4倍ときめ細かくなるほか、表現できる色数も大幅に増加する。テレビ通販では画面の商品画像と実物の差を感じ返品される事例もあるという。高精細な映像で番組の魅力を高め、返品の解消につなげる。4Kの実用放送開始が12月に迫る中、テレビ通販各社は急ピッチで準備を進める。

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4K放送(写真左)の画素数は2Kの4倍に高まる

 QVCは同日、新社屋で整備中の4K放送の設備を報道陣に公開した。既に編集室や収録スタジオを設置済みで、9月までにライブスタジオなどを完成させる予定。

 QVCは1986年に米国で創業したテレビ通販会社で、日本では01年からQVCと三井物産の合弁事業で運営。全国のケーブルテレビ局などを通じて放送している。

 4K放送では、色域の再現率が74%だった従来のテレビ(2K)から99%に広がるほか、画像の明暗差の大きな風景をリアルに表現できる。QVCジャパンの内田康幸社長は「12月の放送開始までに(画像の)焦点の合わせ方など、よく見えるようにするためのトレーニングを進めていく」と話した。

 4K放送の視聴には対応テレビが必要だが、現状では価格面などを理由に普及が進んでいない。内田社長は「4Kと2Kが併存しながら4Kに移行する。4Kは価格帯の値ごろ感もでてきており、東京五輪が近づくと買い替えが進むだろう」と説明する。現在、1割から2割程度ある返品率の低減を目指す。テレビ通販大手では、ジュピターショップチャンネルも12月の4K放送開始を目指している。

(花井悠希)

2018/6/21 13:53
日本経済新聞
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