日銀の若田部昌澄副総裁は22日、参院財政金融委員会で物価上昇率2%目標の達成について
「(日銀の)政策をつぶさに吟味し、現段階では現状の政策でも可能ではないかとの心証を得ている」と述べ、
追加金融緩和の必要はないとの見方を示した。
現状維持を主張する黒田東彦総裁との方針不一致が表面化する懸念はひとまず解消された形だ。

 若田部氏は金融緩和で経済成長を目指すリフレ派の論客で知られ、
かつては日銀が年間80兆円をめどとしている国債購入量を90兆円に増やす追加緩和の必要性を主張。
副総裁就任後も、目標達成に向け「必要なら躊躇なく追加緩和を行うべきだ」と指摘していた。

 一方、黒田氏は現行の大規模緩和を粘り強く続けるとして追加緩和とは距離を置いており、
正副総裁が対立し政策の方向性が不透明になる「若田部リスク」を懸念する声もあった。

 4月の物価上昇率は0.7%と2カ月連続で前月を下回り、2%は依然遠い。
市場では目標達成前に緩和を手じまいする出口戦略に着手するとみる向きも強い。
若田部氏はこの日、「情勢の変化を踏まえ政策が適切でないなら変更も考える」と付け加え、
こうした思惑を牽制(けんせい)した。

画像:若田部昌澄日銀副総裁
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SankeiBiz(サンケイビズ)
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