SankeiBiz 2018.5.21 06:00
http://www.sankeibiz.jp/business/news/180521/bsc1805210500002-n1.htm
ワタナベフーマックがKYBと共同開発した「ADSオートプレス機」
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「アクアシャッター」の起立後=広島市南区
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 油圧、空気圧、電気に次ぐ第4の駆動方法が注目されている。水鉄砲のように、水の力で機械を動かす
「水圧駆動」だ。外部に漏れても水なので製品や周辺を汚すことがなく、火気のあるところでも問題がない。
食品や医薬、化粧品など生産過程で衛生面が重視される分野で、水圧の優れた環境性・安全性が評価され始めた。
防水・防災や介護・福祉などでも活躍が期待され、5年後には1500億円市場に成長するとの予測もある。


 今秋にも1号機納入

 「見積もり依頼は1件にとどまったが、油圧ではなく水圧というメリットに興味を持ったお客さまが多かった」

 4月11〜13日に東京・有明の東京ビッグサイトで開催された「食肉産業展2018」に出展した
食品加工機械メーカー、ワタナベフーマック(名古屋市中川区)の渡辺将博社長は手応えを口にした。

 視線の先にあるのが、水道水で動く水圧技術「ADS(アクアドライブシステム)」を採用した
「ADSオートプレス機」。水圧による強力なプレスで冷凍肉の厚みを整え、次工程のスライサーが
同一形状・重量にカットしやすくする。展示機によるデモンストレーションには多くの入場者が足を止めて
見入っていた。

 「プレス機は油圧」というのが食肉加工業界の常識で、同展で実際に水圧をアピールしてきたのは同社だけ。
しかし営業担当者が顧客の声を聞いて「ニーズがある」と確信、水圧の可能性に懸けてきた。

 パワーに優れる油圧には油漏れのリスクがつきまとう。肉についたら廃棄せざるを得ず食品加工会社にとっては
致命的だ。水圧なら万が一漏れても動力源が水道水なので丸洗いできる。食品衛生管理の手続きを定めた国際基準
「HACCP」対応が食品関連企業に欠かせないことも追い風だ。

 試行錯誤しながら、数年前からADS機を展示するようになり、販売体制も整備。顧客に提供したモニター機も
問題ないため本格展開に移行する。食肉加工業界は実績ができてから口コミで広がっていくパターンが
多いといわれる中、今秋にも大手企業に1号機を納入する。開発から10年目での商機到来だ。

 問題は価格だが、渡辺氏は「開発コストを価格に乗せない。付加価値だけ反映することで(油圧機の)
1.5倍に抑えた」という。まずは水圧の良さを知ってもらうためで、「水圧への流れが出てくるはず。
今後の展開が楽しみ」と目を細める。


(続きは記事元参照。全4ページ)