読売新聞 5/20(日) 7:01配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180507-00050073-yomonline-soci

 2020年東京五輪・パラリンピックが2年後に迫り、建設、製造、サービスなど五輪関連の労働力需要が
高まっている。今秋にはボランティアの募集も始まる。多くの業界で人手不足と言われる中、人材の激しい
奪い合いも懸念される。東京五輪がもたらす雇用インパクトはどれほどなのか。人材コンサルタントの
平賀充記氏に解説してもらった。


■2018年は東京五輪の「雇用イヤー」

 10万人を超すファンが沿道に詰めかけたという羽生結弦選手の凱旋パレード、メダリストたちが招待された
春の園遊会――。平昌五輪で活躍した選手たちに再びスポットが当たり、あの熱狂と感動が再びよみがえってきました。

 一方、開催まで800日余りとなった東京五輪・パラリンピック関連の話題も増えてきました。
2020年に向けて一気に東京熱が高まっていくことになりそうです。

 そんな中、東京五輪に向けて、今年すでに一足早く活気づいている分野があるのをご存じでしょうか。

 実は、2018年は“東京五輪雇用イヤー”なのです。


■労働力需要は81万人超

 リクルートワークス研究所(東京都中央区)が推計したデータによると、2020年の東京五輪が生み出す
労働力は81万5000人。

 このうち、建設業における人材ニーズが最も大きく、33万5000人となっています。これは、
日本における建設業就業者(約500万人)の約7%にあたるインパクトです。しかも、建設業で
五輪関連人材のピークを迎えるのは今年18年とされ、その後、急速に減退する見込みです。新国立競技場を
はじめとした五輪関連施設や公共インフラの建設が事前に行われるためです。

 ただ、3K(きつい、汚い、危険)職場と指摘されることの多い建設現場の人材ニーズを満たすことは、
そもそも容易ではありません。働きたい人1人当たりにいくつ仕事があるかを示す有効求人倍率は、
建設業では4〜5倍という高い水準で推移しており、慢性的な人材不足になっています。

 こうした中、女性や高齢者など、これまで建設業界と縁遠かった労働力を活用しようという動きもあります。
土木業で活躍する女性を「ドボジョ」と呼び、建設業界の救世主と持ち上げる報道もあります。しかし、
危険で体力を要する仕事といったイメージは根強く、こうした動きも限定的なものにとどまっているのが実情です。


■建設現場は外国人頼み

 一方で、建設業に従事する外国人労働者は急増しています。2016年に4万人強だった外国人労働者は、
17年に34%増の5万5000人に上っています。これは、外国人労働者の伸び率でみると全産業でトップ。
建設現場の仕事は外国人技能実習生の対象職種の代表格なのです。

 海外からやってくる労働者の力を借りることなしに、もはや日本のビルや橋といったインフラ整備は
成り立たないということを再認識させられます。これは、オリンピック関連施設も例外ではありません。

 しかしながら、外国人労働者の雇用を巡っては、不法就労などの問題がつきまとうのも事実です。
技能実習生を受け入れる監理団体を取材した際、理事の一人はこんな実情を説明してくれました。

 「彼らは、仕事でつまずいて帰国することはまずありません。ただ、今より高い賃金に釣られて、
ある日突然、バックレる(姿を消す)ことがあります」

 必死に母国への仕送りに励む外国人労働者の弱みにつけこむアンダーグラウンドな業者が存在しているという
指摘です。

 建設業界は、複雑に“下請け”が発達した産業構造があります。下層の下請け業者は、現場の人手不足を
補うために、正規のルートではない方法で外国人労働者を手配しているという実態もあるようです。

 ある五輪施設の建設現場において、どう見ても東南アジアから来たと思われる外国人が、「鈴木」という
名札をつけて働いているという“都市伝説”もあります。


■ボランティアは11万人規模

 2018年を“五輪雇用イヤー”と位置づけるのは、関連施設の建設ラッシュによるものだけではありません。

 大会組織委員会が11万人規模でボランティアの募集を始めるのです。7月下旬に募集要項を決定し、
9月中旬から応募を受け付けます。

(続きは記事元参照)