日本経済新聞 2018/5/9 18:34
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO3025943009052018EE9000/

 福島銀行が2018年3月期決算で30億〜40億円の最終赤字を計上することが明らかになった。
赤字転落は東日本大震災が起きた2011年3月期以来。保有する債券の含み損を処理し、店舗の土地・建物でも
関連損失を計上。配当も7期ぶりに無配にする。赤字を計上した後も銀行の健全性を示す自己資本比率は
規制基準の4%を上回り、9%台を確保する。

 業績悪化は人口減の影響に加え、日銀によるマイナス金利政策の余波を受けた。法人や個人の資金需要が
盛り上がらず、融資に回せなかった資金を国債などの債券で運用していたが、投資採算が悪化。
含み損を抱える債券も多く、17年4〜6月期に最終赤字になった。 採算性で店舗の資産価値を
試算し直したところ、財務諸表に計上している資産額を大きく下回るところも出てきた。
一定割合の価値目減りを損失とする減損処理会計に沿って、一部を損失計上したようだ。

 森川英治社長は日銀出身。含み損を抱えた債券を処理することで「負の遺産」を一掃できれば、
事業改革を進めやすくなる。不良債権処理を迫られたかつての赤字とは違い、マイナス金利などの環境変化で
重荷になったウミを前倒しで出し切る狙いがある。福島銀はバブル崩壊後、1990年代後半の金融危機時に
経営難に陥った。20年かけて健全性を回復させた。直近の自己資本比率は11%を超えていた。