Bloomberg 2018年5月9日 5:42 JST 更新日時 2018年5月9日 6:13 JST
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-05-08/P8FF6V6S972A01

 8日の米株式市場ではS&P500種株価指数が小反落した一方、ダウ工業株30種平均は下げを埋めた。
米国はイラン核合意から離脱するとトランプ大統領が発表し、地政学リスク増大につながるとの懸念が高まった。
米原油先物は大幅反落。イランを巡る動向がエネルギー供給に与える影響見極めで、値動きの荒い取引だった。

 公益事業株や電気通信サービス銘柄が特に売られ、S&P500種を押し下げた。米国債相場は下落。
4%への10年債利回り上昇に備えるのが賢明だとJPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン
最高経営責任者(CEO)が述べた後、10年債利回りが3%に向け再び上昇した。

 S&P500種株価指数は前日比0.1%未満下げて2671.92。ダウ工業株30種平均は2.89ドル(0.1%未満)上げて
24360.21ドル。ニューヨーク時間午後4時40分現在、米10年債利回りは2ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)
上昇し2.97%。

 ニューヨーク原油先物市場のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物は大幅反落。
米国がイラン核合意を離脱し、対イラン制裁を再開するとトランプ大統領が発表した後、下げ幅を縮めた。
一時は4.4%安まで売られていた。ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物6月限は1.67ドル
(2.4%)安の1バレル=69.06ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント7月限は1.32ドル安の74.85ドルで終えた。

 ニューヨーク金先物相場は小動き。ドル上昇のほか、トランプ米大統領がイラン核合意の離脱を
決めたとの報道が材料視された。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物6月限は0.1%未満下げ、
1オンス=1313.70ドルで終了した。

 米国によるイラン制裁再開は、イラン産原油の供給途絶や中東情勢の不安定化を招く可能性がある。

 ブリンマー・トラストのアーニー・セシリア最高投資責任者 (CIO)はイランを巡る米発表に関し、
「発表は事前予告されており、一大サプライズというわけではなかったと思う。ただ若干意外な印象があったのは、
その他のいわば選択肢をあまり多く残さなかったことだ」とし、トランプ大統領は予想されたほど
「曖昧さがなく、かなり率直だった」と話した。

 米国債は米のイラン核合意離脱発表を手掛かりに、引けにかけて下げ幅を縮小。安全逃避の動きで、
10年債利回りが2.96%を割り込む場面もあった。