【シリコンバレー=白石武志】米フェイスブックは1日、同社によるネット閲覧履歴などの収集を利用者が自ら制限できる機能を数カ月内に追加すると発表した。3月に発覚した個人情報の不正流用問題を発端に、同社のプライバシーの扱い方を問題視する声が強まっていた。データ管理の権限を利用者にも持たせ、データを占有しているとの批判を抑える狙いだ。

同社がサンノゼ市内で開いた開発者向けイベントに登壇したマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)が明らかにした。開発中の「クリアヒストリー」と呼ぶ新機能を使えば、利用者はブラウザーやアプリの利用履歴などを簡単な操作でアカウント上から消したり、フェイスブックによる一部のデータ収集を止めたりできるようになるという。

ネット上の訪問記録などを消去することで利用者の好みなどに関する情報も消えるため、ザッカーバーグ氏は「ユーザー体験の一部は悪くなる」とも指摘した。フェイスブックを利用する広告主にとっても個人情報に基づくマーケティングの精度が落ちる恐れがあるが、プライバシー擁護派の求めに応じた。

フェイスブック利用者の個人情報が不正流用され、英データ分析会社によって2016年の米大統領選でトランプ陣営が有利になる情報戦に利用されていたとされる問題は、ザッカーバーグ氏が4月に2日間にわたって議会証言を求められる事態に発展した。

同氏は「議会証言の経験から学んだことの1つは、データに関するいくつかの疑問に対して十分な回答が得られていないことだ」とのコメントも発表した。現在は個人情報保護が万全であることの確認を進めているといい、「近いうちにさらなる対応を予定している」と説明した。
2018/5/2 3:37
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO30063310S8A500C1000000/