認定NPO法人「国際ビフレンダーズ大阪自殺防止センター」(大阪市)は3月、厚生労働省から会員制交流サイト(SNS)を使った自殺対策相談事業の委託を受け、LINE(ライン)での対応を試みた。

神奈川県座間市の切断遺体事件の犠牲者は自殺願望をツイッターで投稿していた。若者の「声」をくみ取るため、LINEのやりとりでは年代が近く、心理学などを学ぶ大学生らを相談員に起用した。

1カ月間に60件の相談が寄せられ、利用は10〜20代の若者が8割。普段実施している電話相談は40〜60代が中心だ。「電話ではうまく話を伝えられなかった」という意見もあった。

「死にたい」という直接的な言葉にも電話だと一対一。LINEの場合は複数人で返信内容を考えられ、より丁寧な対応ができたという。半面、1回の相談が1時間半〜2時間と長く利用者を多く受け入れられず、メンテナンス費用がかかるなどの課題も見つかった。

「ニーズを感じた」とセンターの北條達人所長(32)は話す。「文字だから相談できる人もいる。孤立せず、一人でも多くの人とつながってほしい」。委託事業は終了したが、今後、相談員を募集するなど態勢を整え、SNSを活用した相談窓口開設を検討している。〔共同〕
2018/5/1 10:30
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO30015570R00C18A5CR0000/