今は大学・大学院の進学者の約4割が奨学金を利用する。社会人になった途端に返済の負担を実感し、家計管理に悩む人も少なくない。結婚や住居購入などの資金需要が控える年齢層だけに、奨学金返済とうまくつきあいながら貯蓄も増やしたい。家計管理のコツを専門家に聞いた。

 「毎月2万円の奨学金の返済負担は重い」というのは、東京都渋谷区に住む会社員の女性Aさん(29)。一人暮らしで家賃が10万円近くかかり、貯蓄をする余裕がない。「将来のために資産運用もしたいのに……」と悩む。

■利用者の割合は20年前の4倍

 日本学生支援機構によると、2016年度の奨学生の数は131万で大学生や院生などの38%を占めた。20年前の4倍近くだ。授業料の値上がりに加え、親世代の資金力が細っているのが理由だ。

 奨学金の返済負担はどれほどか。3月の有利子・貸与型(第2種)は金利0.27%。在学時、月3万円を4年間借りた場合、返済期間13年で月返済額は約9400円。同12万円借り20年返済なら約2万5000円だ(グラフA)。他の教育ローンなどもあれば、負担はさらに膨らむ。

この4月に新社会人になった人は以下の点に留意しよう。機構への返済が始まるのは10月で最初の口座振替日は10月27日。前営業日までに一定額を指定口座に入れ、返済に備えたい。

 入社2年目からは所得税に加えて住民税も給与から天引きされるため、手取り額が減る可能性もある。ファイナンシャルプランナー(FP)の蟹山淳子氏は「入社して最初の半年間は黒字だとしても安心してはいけない」という。

 FPの深田晶恵氏に奨学金を返済する人が目標としたい家計のイメージを示してもらった(図C)。まず月の手取り収入から家賃や光熱費などのライフライン費を差し引き、次に奨学金返済額と、数千円でも構わないので貯蓄額を多めに確保する。残りの金額が「自由になるお金」。このお金は現金、カード払いを問わず家計簿をつけて赤字にならないよう管理する。
以下ソース
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO29352610T10C18A4PPD000