中国市場にポルシェとジャガーの完全電気自動車(EV)が投入されることを受け、米EV大手テスラは中国での現地生産契約の締結をさらに急ぐ必要に迫られる。

今後1年半以内に、ポルシェは「ミッションEクロスツーリスモ」、ジャガーは「Iペース」を中国市場に投入する見通しだ。両ブランドはその人気と高級感で消費者を取り込み、テスラの中国販売シェアを奪うかもしれない。

ポルシェとジャガーの新しい電動スポーツ用多目的車(SUV)の中国販売は、そのブランド力によってテスラの「モデルX」を上回るかもしれない。ポルシェのミッションEクロスツーリスモとジャガーのIペースは来年にも発売の予定。より大規模な販売網を持つ両SUVの販売台数は、テスラのモデルXを超える可能性がある。また競争力のある価格で販売され、テスラの売り上げが打撃を受けるかもしれない。ジャガーのIペースの当初の価格は6万9000ドルから9万ドル(約742万円から967万円)と、テスラの「モデルX」を下回る。

テスラは中国で充電ステーション、スーパーチャージャー網の拡充を計画している。これで走行距離に対するドライバーの懸念が和らぎ、「モデルS」と「モデルX」の需要が押し上げられる可能性がある。テスラは今年、スーパーチャージャー1000台を追加設置する計画で、2017年末の稼働数1021台からほぼ倍増することになる。中国での現地生産というテスラの野望が実現すれば、充電インフラは中国全土へとさらに拡大するだろう。

20年までに中国の補助金が段階的に廃止されるとの見通しを受け、テスラは19年より後に中国の工場への大規模な設備投資を計画している。そうなれば公平な競争環境が整う。ただ、25%の輸入関税は引き続き課されるかもしれない。(ブルームバーグ Steve Man)
2018.4.20 05:49
https://www.sankeibiz.jp/macro/news/180420/mcb1804200500023-n1.htm