京都大のチームは16日、治療が難しい糖尿病などによる皮膚潰瘍や重度の熱傷などへの治療効果が高い人工皮膚を肌着大手グンゼと共同開発したと発表した。時間をかけて薬剤を患部に浸透させる機能があり、従来の人工皮膚より治るまでの時間が数倍早く、薬剤塗布の回数も減るという。今月10日に国から製造承認を受け、夏以降にも発売する。

 従来はコラーゲン100%だった人工皮膚の成分の10%をゼラチンに改良。薬剤を塗ると、ゼラチンが分解する際に放出されるため、皮膚下の患部にゆっくり持続的に浸透する。2010年から京大病院で治験を実施。治療が難しい30〜80代の皮膚潰瘍の患者17人で調べると、元々患部の状態の良くなかった1人を除いて治りが早かった。

 関西医大准教授(形成外科)となった森本尚樹・元京大医学部講師によると、これまで患者自身の細胞を含ませた人工皮膚では同様の効果を得られたが、特注のため高額となっていた。

 糖尿病では足の末端の血行が悪くなり、潰瘍や壊死で切断が必要になることもある。国内では糖尿病患者全体の1〜10%が潰瘍になり、その7〜20%が切断に至るという。森本氏は「悪化前に治療できる」としている。
https://mainichi.jp/articles/20180417/k00/00m/040/102000c