【シリコンバレー=中西豊紀】米フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は6日、米議会内で議論中のプラットフォーマーの広告規制について「支持する」との声明を発表した。これまで同社は態度を明確にしていなかった。ただ、あわせて同社は法案と類似した自主ルールを公表。10日の議会公聴会を前にガス抜きを狙った可能性がある。

不正な選挙介入を防ぐための広告出稿ルールの厳格化とあわせて声明を出した。ザッカーバーグ氏は「選挙介入の問題はプラットフォームよりも重い。だからこそ我々は(広告規制)法案を支持する」と明言した。

法案は「オネスト・アド・アクト」と呼ばれ、テレビやラジオ、衛星放送に課されている政治広告規制をネット上のソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)にも適用させようというもの。上院民主党のエイミー・クロブシャー議員や、同共和党のジョン・マケイン議員らが起草人に名を連ねている。

主な内容は広告主の連絡先や広告が対象としている人たち、掲載に支払われた額の開示など。広告の4年以上の保管も求めている。2016年の米大統領選ではロシアの組織が米国の活動化をかたり社会の分断を招くような広告をフェイスブック上に載せていた。法案は不正な広告主をSNSから排除し広告の透明性も高める狙いがある。

同法案は17年10月に議会に提出された。起草人の一人である上院民主党のマーク・ワーナー議員は大統領選での広告で問題が見つかったSNSとしてフェイスブック、ツイーター、グーグルの名前を明記しておりこれら企業への規制が念頭にあるもようだ。

各社は規制への立場を公の場で明言してこなかったが、今回初めてフェイスブックが支持を示した。ただ、フェイスブックが同日表明した政治広告への対策は法案が求める中身に沿っている。「自主規制」をまず打ち出して、法案も容認する姿勢を見せることで法律による過度な規制をけん制する狙いがありそうだ。

一方、フェイスブックによる法案支持の発言はグーグルやツイッターの広告戦略にも影響を与えそうだ。議会は両社にも対応を迫るのは必至。10日の公聴会にあわせて各社もなんらかの対応を打ち出す可能性がある。プラットフォーマー規制をめぐる政治とIT(情報技術)企業の駆け引きが本格化しはじめた。
2018/4/7 12:00
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO29124400X00C18A4000000/