インターネット証券大手マネックスグループが、巨額の仮想通貨流出を起こした交換業者大手コインチェック(東京)の社長として勝屋敏彦最高執行責任者(COO、52)を派遣する方針を固めたことが5日、分かった。仮想通貨事業に本格的に参入するため、コインチェックを買収し、勝屋氏が経営を主導する。コインチェックもマネックスによる買収を受け入れる意向だ。6日発表する。

コインチェックの経営を担ってきた和田晃一良社長と大塚雄介取締役は巨額流出の責任を取り、マネックスによる出資完了後に退任する。マネックスがコインチェックの過半の株式を取得する方向で、買収額は数十億円の見込み。

勝屋氏は旧三菱銀行(現三菱UFJ銀行)出身で、2006年にマネックスに入社。15年11月から約2年にわたり傘下のマネックス証券の社長を務めた後、昨年10月にマネックスグループのCOOに就任。金融ビジネスに精通しており、経験を生かしてコインチェックの再建を急ぐ。

マネックスは成長戦略として仮想通貨の基盤技術となるブロックチェーン(分散型台帳)の活用などを掲げている。コインチェック買収で、同社の顧客基盤やシステム、運営ノウハウなどを取り込む。

金融庁は、マネックスによる買収後のコインチェックの経営体制や経営計画などを慎重に見極め、仮想通貨交換業者としての登録の可否を判断する。

コインチェックは、マネックス傘下に入ることで顧客保護やリスク管理を強化し、信用回復を目指す。

コインチェックをめぐっては1月下旬、不正アクセスにより顧客から預かっていた約580億円相当の仮想通貨「NEM(ネム)」が流出。金融庁から2度にわたって業務改善命令を受け、経営体制の抜本的な見直しを求められていた。(森田晶宏)
2018.4.6 06:00
https://www.sankeibiz.jp/business/news/180406/bse1804060500001-n1.htm