富士フイルムホールディングス(HD)は29日、JXTGホールディングス傘下で再生医療関連事業を手掛ける2社を約850億円で買収すると発表した。細胞培養の栄養剤である「培地」に強みを持つ米アーバインサイエンティフィックセールスカンパニーとアイエスジャパンの全株式を取得する。主力の複合機市場が成熟するなか、成長産業の再生医療やバイオ医薬品事業を強化する。

「今回の買収は、ヘルスケア事業を拡大するための重要な手段である」。29日午後、都内で記者会見した富士フイルムHDの古森重隆会長兼最高経営責任者(CEO)はこう強調した。同日付で2社と株式売買契約を締結した。

 培地は細胞を育成するための栄養分を含んだ物質で、バイオ医薬品や再生医療製品の細胞培養に必要不可欠。17年には培地の技術を持つ和光純薬工業を武田薬品工業から買収した。2社の買収で、次の収益柱とにらむ再生医療事業を加速させる考えだ。
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