【シリコンバレー=兼松雄一郎】米ライドシェア最大手ウーバーテクノロジーズの自動運転車が歩行者の死亡事故を起こした事件で、米アリゾナ州テンピの地元警察は事故場面の車両カメラの画像を公開した。暗闇の中から歩道とは反対の側から突然自転車を押しながら歩行者が飛び出して来たことが確認できる。事故時は午後10時で路上は暗く人間の運転手でも避けるのは難しそうな状況であったことが分かる。

ウーバーは警察の投稿に対し「心が痛む映像であり、遺族の方にお悔やみ申し上げます。全ての捜査に協力します」とのコメントを出した。

ウーバーの車両を含め、自動運転車には目視が難しい暗闇でも前方の障害物に反応するセンサーやレーダーが必ず着いている。これが正常に機能していたかが捜査の一つのポイントになる。ただ、検知できる範囲は製品の性能により異なる。事故時の速度は時速64キロメートル程度だった。より広い範囲を検知できるセンサーを使っていれば、衝突直前に減速できた可能性はあるとみられる。

公開映像では、問題があればハンドルを引き継ぐはずの運転席の監督者が衝突直前まで前方に注意を払っていなかったことも確認できる。未熟な技術を補完する役割を本当に果たせていたかどうかが議論の対象になりそうだ。

自動運転車は技術水準が上がってくると、運転席の管理者がハンドルを引き継ぐ回数が減り、注意を保つのが難しくなると各社の開発者は認めている。トヨタ自動車は「自動運転車の運転席に乗る社員の心理的な負担に配慮」し、米国での自動運転車の走行実験を一時的に中断している。
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2018/3/22 11:25
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO28413900S8A320C1000000/