イーロン・マスク氏は11日(現地時間)、SXSWのQ&Aセッションに登場した。
このイベントで、マスク氏は自身のキャリアにおける「最大のミス」は、当初、テスラに十分な時間を捧げられなかったことだと語った。
2004年以降、2008年にCEOに就任するまで、マスク氏はリードインベスター、会長として同社の経営に関わっていた。
イーロン・マスク氏は11日、SXSWのQ&Aセッションに登場した。マスク氏は火星への移住や人工知能(AI)、カニエ・ウェストなど、さまざまなトピックについて話をした。

イベント終盤、マスク氏はテスラの創業から自身のCEO就任までを振り返り、自身のキャリアにおける「最大のミス」は当初、同社に十分な時間を捧げられなかったことだと語った。マスク氏は自身の宇宙開発会社スペースXの方により多くの時間を割いていたという。

「思うに、それがわたしのキャリアの中で最大のミスだったのだろう」マスク氏は言った。「物事を両立できると考えるのは、恐らく間違いだ」

マスク氏はテスラのリードインベスターだったが、もともと幹部のポジションには就いていなかった。2004年から2008年まで会長職を務めることで、スペースXの経営と子育てに注力できるはずだった。しかし、テスラの最初の車「ロードスター」はその生産に遅れが生じ、予算も超過。マスク氏と当時のCEOマーティン・エバーハード(Martin Eberhard)氏との間の緊張は一気に高まった。その結果、エバーハード氏はテスラを去ることになり、常任のCEOとしてはゼブ・ドローリ(Ze-ev Drori)氏が2007年11月にその後を継いだ。

マスク氏の後悔
しかし、テスラは2008年の金融危機で破産の危機に直面。マスク氏は一歩踏み出して、自らが主導権を握ることに決めた。

「『スペースXの経営は続けられる。自分の時間の20%をテスラに捧げれば、それでいい』と思っていた」マスク氏は言った。「でも、実際は……崩壊した」

マスク氏は2008年10月にCEOに就任すると、レイオフを実行、4000万ドルを調達して、会社の破産を回避した。以来、テスラはラグジュアリーセダンの「モデルS」、ラグジュアリーSUVの「モデルX」、大衆向けセダン「モデル3」と、3つの車種を発表し、太陽光電池の開発を進めたことで、その時価総額はフォード以上、ゼネラル・モーターズに匹敵するほどにまで成長した。

マスク氏は否定するかもしれないが、テスラはその顧客・投資家人気の高さから、物事を両立することができる ―― 生産の遅れに直面しつつも、資金繰りに困ることはない。だが、テスラがここまで来られたのはマスク氏のCEOになるという決断と、過去のキャリア史上最大のミスをサクセスストーリーに変えてしまう同氏の能力のおかげと言えそうだ。
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