だれにとっても時間は平等にある。だが成果を残す人は、その使い方が違う。そして違いが出るのは、平日ではなく休日だ。今回、3人の識者に「休日の使い方」について聞いた。第4回のテーマは「自分の軸をつくりたい」。『1億稼ぐ営業の強化書』などの著書がある市村洋文さんは「自分の軸をつくるためには、休日に親孝行するといい」と話す。どういうことなのか――。(全6回)

私の軸は、“ワクワクしたら動く”ということです。自分の軸がわからない人も、“ワクワクしたら動く”ことを心がけてみてはいかがでしょう。迷ったら、「自分の心が躍るのはどっちだろう」と考えて、行動を選択するんです。

私はよく講演で、「500円と1300円のお弁当があって、1300円のお弁当がすごく食べたいと思ったら、迷わず買ってください」といっています。いつもお昼を500円に抑えているお父さんは、「1300円の弁当買っちゃったよ」と、蓋を開ける瞬間からワクワクして、その美味しさやお肉の厚さに感動すると思うんです。そういう体験はすごく大事。その積み重ねで人間の幅が大きく違ってくると思うんです。

人生を狂わせるほどのお金じゃない限り、時々、少しわがままになって、買ってしまっていいと思うんです。休日に買い物に行ったら、ゴルフクラブでも、靴でも、車でも、「これを買ったら自分の人生がときめく」と思うぐらいワクワクするものを買ってみる。そうすると、豊かな感性が培われ、自然と自分の軸ができてくると思うんです。「子どもの学費がかかるんだから」と奥さんにいわれていても、少しわがままになって、ときめきを取り戻してください。クラブを磨くたびに、その靴を履くたびに、車に乗るたびに、機嫌がよくなるんだから。しかめっ面でつまらなそうにしているお父さんより、家族にとっても幸せです。そういうふうに生き方を選択していたら、人生の楽しい扉が開いてくるはずです。

休日に親孝行をすると、ブレない自分になる
自分の軸がない人は、休日に親孝行をしましょう。遠くにいる人は、親に感謝するだけでもいい。なぜなら、自分の軸をつくるうえで、「孝」の精神は欠かせないものだからです。

仏教の教えとされる「父母恩重経」というものがあります。子が父母から受けた10の恩を説いたものです。母は腹の中の子を守護し、苦しみに堪え出産し、大量の乳を飲ませる。父母は大小便を喜んで洗い流し、子どもを見守り、安全を祈る。子の苦しみを代わってあげたいと思い、世を去れば子を守護する。そうした恩の重さを感じることは自己肯定感と自信につながります。自信があれば軸はブレない。先祖は根、親は幹、自分は枝葉です。もし根や幹がしっかりしていないなら、自分の代から花を咲かせ、太い幹になり、強い根になればいい。そのためには家族を大事にすることです。私は普段は忙しく食事も外食ばかりですが、日曜日は家族で食事を取ることにしています。

自信が持てたら、自分の軸を考えてみる。自分の軸とは、「使命」のこと。使命は「命を使う」と書きます。つまり、命がけでする仕事は何かを考え、行動するということです。

「使命」とは、must, can, willが交わるところにあります。mustは、「家族を絶対に守る」といった譲れないもの。canは、何ができるのか。willは、将来どうなりたいか。夢、目標があると人は行動します。その3つが見つかれば自分の軸が定まりますよ。
http://president.jp/articles/-/24543