0001へっぽこ立て子@エリオット ★
2018/03/07(水) 12:55:14.89ID:CAP_USER6日、サンディエゴにあるクアルコム本社のホールの扉は閉じられたままだった。本来ならば総会出席のため午前中に集まるはずだった株主の姿もない。CMを流しているロビーのモニター画面に時おり「(クアルコムの経営陣を支持する)白いカードに投票を」という映像が混じることを除けば、同社が委任状争奪戦の最中だと感じさせるものはない。
数日前までぴりぴりしていたクアルコム社内に安堵をもたらしたのは、総会延期を求めた財務省所管の対米外国投資委員会(CFIUS)の考えを示した5日付の書簡だ。議員らがかねて発言していた通り、華為技術(ファーウェイ)など中国勢と争う5Gの技術、規格策定の競争力や、国防総省によるクアルコムからの製品調達に悪影響が出ることを警戒する文言が並ぶ。
特筆すべきはCFIUSの懸念がブロードコムという企業、つまりホック・タン最高経営責任者(CEO)の経営方針にまで及んでいることだ。「プライベートエクイティー型」という言葉を用いて、ブロードコムがクアルコムを買収した場合に「研究開発のような長期投資を減らし、短期的な利益を追求するだろう」と指摘した。
ブロードコムが買収に際して最大1060億ドルの融資を受ける計画であることについても「負債が短期の利益志向をより強め、長期的な投資を失わせる」。さらにはブロードコムは買収を重ねて収益性や企業価値を高めてきたことに触れ、その背景に「研究開発投資の抑制がある」とした。
CFIUSの論理はこうした経営姿勢が研究開発への投資を減速させ、ひいては5Gの技術開発や規格策定、防衛関連の製品供給に悪影響が出るというものだ。確かに売上高の25%を研究開発費に投じるクアルコムは半導体メーカーの中でも技術志向の強い企業だが、ブロードコムが買収後にこうした長期投資を減らすというのは推測でしかない。半導体業界に詳しい産業アナリストのパトリック・ムーアヘッド氏は「当局はブロードコムと華為技術の関係の近さを懸念している」と指摘する。
書簡はブロードコムがシンガポールから米国への本社移転を決定していることについては触れなかった。ブロードコムはCFIUSの調査に完全に協力するとしているが、文面を見る限り、CFIUSが買収にゴーサインが出すハードルはとても高くみえる。
クアルコムのステークホルダーのなかに、同社が独立し続けることを望む声が多いのは事実だ。スマートフォンメーカーなどの取引先は通信用半導体を供給できる企業が減って健全な競争が失われることを懸念し、サンディエゴのような地域は雇用や寄付といった有形無形の貢献が薄れることを心配している。
ただ、クアルコムの株主にとっては微妙な局面になったといえよう。6日の米市場でクアルコムの株価は2.92%下げて終えたことがそれを表している。
2018/3/7 11:54
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO27798720X00C18A3000000/