総務省が、固定電話の番号ポータビリティー(持ち運び)制度を拡充する方針を固めたことが4日、分かった。光回線を使ったIP電話(光IP電話)の番号を、別事業者のサービスに移行した場合でも継続利用できるようにする。光回線と携帯電話のセット契約「光コラボ」の契約者が、他の光コラボ事業者に乗り換えやすくすることで競争を促す狙い。NTT東日本と西日本が2025年に、電話回線網からインターネット技術を活用したIP網への移行を完了するのに合わせて拡充する。

 NTTドコモなど携帯電話大手が携帯電話と光回線をセット販売して料金を割り引く光コラボは、携帯電話大手にとって主要な契約者獲得の手段。しかし現状では他社から顧客を奪おうとすると、契約中の事業者が「他の事業者に移ると、光IP電話の番号が変わってしまいます」と牽制(けんせい)することで、契約者の囲い込みが可能になっている。

 事業者を変えても同じ光IP電話の番号を使えれば、競争が活性化し、光コラボ利用者の負担軽減につながる可能性もある。総務省は電気通信事業法改正案を通常国会に提出する。

 固定電話の番号持ち運びをめぐっては、NTT東西の電話回線の契約時に取得した番号であれば、電話回線から光IP電話に切り替えても同じ番号を使える。しかしNTT東西の電話回線を契約せず、光IP電話で初めて電話番号を取得した場合は、他の光回線事業者に乗り換えると番号が変わる。IP電話を含む固定電話の番号持ち運びは、NTT東西が管理する仕組みとなっているからだ。

NTT東西が固定電話網をIP網に切り替えた後は、光IP電話の全事業者が番号データを個別に管理する仕組みに変わり、携帯電話と同様に乗り換え時の番号継続が可能になる。総務省は法改正で、固定電話の番号持ち運び制度の確実な拡充を義務づける。

 携帯電話が普及するなかでも光IP電話の契約数は伸びており、番号持ち運び制度が拡充されれば、携帯電話に比べて通話料の割安な固定電話が“復権”する可能性もある。
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