若手社員が抱える課題や悩みの解決を、経験豊かな先輩社員がサポートするメンター制度。最近、二者の立場を逆転させた「リバース(逆)メンター制度」を導入する企業が登場している。社内コミュニケーションの活性化に狙いがあるようだ。

 メンターとは「助言者」の意味。定期的な面談などを通じ、先輩社員が若手社員の相談に乗るのが一般的だ。離職防止や女性社員の人材育成などに効果があるとされ、多くの企業が導入している。

 では、これまでの「先輩」と「若手」の立場が反対になった逆メンター制度には、どのようなメリットがあるのだろう。

 資生堂(本社・東京)は、社員と役員を対象にした逆メンター制度を導入して1年になる。役員から「ITスキルを学ぶ機会がほしい」という声が上がったのがきっかけだった。

 まず、役員が30歳前後の社員約20人をメンターに推薦。事務方が双方の担当分野が異なるようにマッチングする。IT技術を伝えることを基本目的に、月に1、2回、会議室で面談したり、商業施設などへ視察に出向いたりする。メンターの任期は1年間。

 就活メイクなどの講座を企画する部署に所属する中村涼香さん(31)は、マーケティング担当役員のメンターになった。「最初は緊張し、私が教えていいのだろうかと思った」と明かす。

 しかし、面談を重ねるうちに相手の関心分野もわかってきた。社内制度でカナダに1か月の語学留学をした際、インターネットの無料テレビ電話を使い、現地で人気のオーガニック化粧品について伝えるなど工夫した。

 「出張先から臨場感のある報告ができるメリットを実感してもらえた。今では、役員が担当する部門内で、無料テレビ電話がかなり活用されているそうです」と話す。

 逆メンター制度の感想などを役員にアンケートしたところ、「生産性向上につながった」「新しい考え方や常識に触れ、大いに刺激された」などと評価する声が多かったという。

 同制度の運用に携わったIT担当部の越智佑子さん(38)によると、社内専用SNSも現場や出張先でも頻繁に使われるようになり情報共有の速度が向上したという。
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