関西電力が福井県の原子力発電所から出た使用済み核燃料の中間貯蔵について、東京電力ホールディングスと日本原子力発電が持つ青森県むつ市の施設を利用する方向で検討に入ったことが分かった。福井県の要請を受け2018年中に具体的な計画を示すとしていた。懸案だった貯蔵先を確保し原発の長期運転にめどをつけたい意向だ。

関電は、東電が8割、日本原電が2割出資する「リサイクル燃料貯蔵」が持つむつ市の中間貯蔵施設の一部を有償で利用する方向で同社と交渉に入った。ただ、原発に慎重な世論もあり、地元の青森県などとの調整は難航も予想されている。

 関電はすべての原発を福井県に置いている。大飯原発1、2号機の廃炉を決めたが、引き続き原発を基幹電源と位置付けている。現在は使用済み燃料を各原発の敷地内で一時的に保管しているが、美浜は9年程度、高浜は6〜7年、大飯は7年程度で貯蔵プールが一杯になると試算。これに代わる中間貯蔵施設の確保が課題となっていた。

 福井県の西川一誠知事はこれまで中間貯蔵施設は県外に建てるように関電側に要請。関電も福井県外を前提に、20年までに建設地を決め、30年ごろに稼働させる方針を示していた。昨年11月には18年中に候補地を明らかにすると表明していた。

 使用済み核燃料は原発でウラン燃料を燃やして電気をつくる際に出る。少量のウランなどが残り、日本では再処理でプルトニウムなどを取り出して、再び燃料として使う核燃料サイクルを推進している。だが、日本原燃の再処理工場(青森県六ケ所村)は完成時期が何度も延期されている。電力各社が抱える使用済み核燃料は膨らむ一方で、貯蔵プールも容量に限界がある。
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