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2018年01月02日14時16分
 【ニューヨーク時事】ニューヨーク名物の黄色いタクシー「イエローキャブ」が苦境に立たされている。スマートフォンのアプリで指定場所まで送迎してくれるウーバーなどの配車サービスの人気に押され、利用者が減少。負けじと、アプリでタクシーを手配できるサービスの提供を始めたが、客離れに歯止めがかからない状況だ。

 「ホリデーシーズンなのに客がいない」。昨年12月下旬のマンハッタン。キャブの運転手、アクマヌザマン・シェイクさん(45)の表情は暗い。20年来のベテランだが、「ウーバーや(同業の)リフトに客を奪われている。これほど悪い時代はなかった」と振り返る。

 個人事業主を目指していたシェイクさんは2014年、ローンを組み、ニューヨーク市当局が発行するタクシー営業許可証「メダリオン」を105万ドル(約1億1900万円)で購入。しかし、「当時と違い、今は1日に200ドルも稼げない。借金を毎月返済しなければならないのに」と嘆き節が止まらない。

 実際、街角では空車で走るタクシーをよそ目に、スマホの画面を見ながらウーバーなどを待つ人々の姿が目立つ。市内に住む女性会社員(60)も「以前はタクシーをよく拾ったが、今はウーバーばかりだ。数分で来てくれるし、料金も安い」と話す。乗る前に料金が分かり、支払いがアプリ上で済ませられるのもウーバーの強みだ。

 米メディアによると、ニューヨーク市では昨年7月、ウーバーの1日当たりの利用件数がタクシーを初めて上回った。配車サービスに対する市民の抵抗感は少なく、生活の足などとして受け入れが進んでいる。
 市の規制でタクシーの登録台数は約1万3600台に抑えられているが、ウーバーだけで既に6万台以上が市内を走行している。市は、配車サービスの利便性を認め、タクシー業界との競合に介入する姿勢は見せていない。イエローキャブを取り巻く環境は一段と厳しくなりそうだ。

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