成田国際空港会社(NAA)は格安航空会社(LCC)専用の第3ターミナルの混雑緩和を図るため、2019年度末までに大規模な改修を行う。LCC路線の拡大に伴い第3ターミナルビルの利用客が急増しており、保安検査機器の更新や到着専用ロビーの新設などで利便性を高め、ターミナル全体の機能強化を図る。

第3ターミナルはLCCの専用施設として15年4月に開業した。NAAによると、16年度に同ターミナルを利用した旅客は687万人と前年度比で約13%増加。17年度上期(4〜9月)も392万人が利用しており、今年度は年間800万人超えも視野に入る。

 NAAは第3ターミナルでの旅客受け入れを年間で最大750万人と想定していたが、現状でも利用が集中する夕刻などは混雑が目立つ。LCC路線が年々広がり、20年の東京五輪・パラリンピックに向けて訪日客の一段の増加が見込まれる中、旅客数が上限を超える状況になれば、チェックインや手荷物検査といった手続きの混雑がさらに激しくなることが懸念されていた。

 今回の改修では保安検査の手続き短縮を図るため、保安検査場に「スマートセキュリティ」システムを19年度末までに導入する。手荷物検査のレーンが17メートルと一般的なものより10メートル長く複数人が同時に使えるほか、かばんなどを入れるトレーの搬送も自動化し、一部の係員を利用者の誘導や検査に振り向けられるようになる。検査場での待ち時間は大幅に短縮される。

 現状では保安検査員がX線検査装置を使って手作業で行う受託手荷物の保安検査についても、チェックイン後に手荷物を爆発物検知装置で自動的に検査する「インラインスクリーニングシステム」を19年度末までに導入する。手作業で行うX線検査が不要になるため、作業の効率化と検査員の負担軽減につながる。

 ターミナル内の混雑対策では到着ロビーを増築し、出発客と到着客の動線を分ける改修も19年夏までに完了させる。現在の第3ターミナルは1階に到着した客が外に出るには2階の出発ロビーを通過する必要があり、出発客と到着客が2階に集中することで混雑の原因となっていた。

 このため1階に到着専用のロビーを増築し、直接外に出られる構造にする。バスの乗降場と直結するため、ターミナル間の移動もスムーズになる。

 NAAによると今回の改修などにより第3ターミナル全体の処理能力は10〜20%向上することが見込まれる。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO24159160R01C17A2L71000/