ヤマトホールディングスは28日、ネットワーク整備や働き方改革などに1500億円を投資することなどを柱とした2019年度までの新中期経営計画を発表した。夜間専門ドライバーの新設や集配業務の効率化に取り組むことで、正社員の超過勤務時間を半減させる。インターネット通販の急拡大で増えた従業員の負担を軽減し、宅配事業の収益性改善を目指す。

 働き方改革関連では、労働時間の抜本的改革として正社員の超過勤務時間を半減させ、パートの超過勤務も「大幅抑制」するとした。集配業務システムを改良、ロボットや人工知能(AI)の導入で、業務の効率化を目指す。

 宅配事業では、需要の多い夜間配達専門のドライバーを19年度までに1万人配置し、ネット通販の増大に対応する。配達時に自宅に受取人がいないことで生じる再配達問題に対応するため、街中で荷物を受け取れるオープン型宅配ロッカーの増設やコンビニ受け取りの拡大を進め、自宅外での荷物受取比率を10%に高める。

 採算性の向上のために価格の見直しを進めている大口顧客との契約では運賃決定のプロセスを明確化する。荷物のサイズや、不在率、燃料費や時給単価などの社会経済環境の変化によるコスト変動を組み込み「恒常的に契約運賃を見直す」とした。物流施設や車両の更新などへの2000億円の投資も盛り込んだ。

 今春から実施している荷受けの総量抑制で、16年度に18億7千万個だった取扱個数は18年度までに17億7千万個まで減らすが、効率化や配達ドライバーの採用を増やすことで19年度には18億4千万個に再拡大し、その後も成長させる。16年度に348億円だった連結営業利益は、19年度までに過去最高の720億円を目指す。

 国内のネット通販など電子商取引市場の拡大で、宅配便の取扱個数は増加し続けている。記者会見した山内雅喜社長は「これからも世の中の豊かな暮らしに貢献できる企業でありたい」と述べ、今後の成長への意気込みを示した。
https://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ28HN9_Y7A920C1000000/