タクシーに乗ろうとしている利用者のもとに、最も早く着くタクシーを自動的に選んで配車するスマートフォンのアプリを神奈川県内のタクシー会社が導入することになりました。来年1月以降の本格的な利用開始を目指すということです。
このアプリには利用者の周辺にいるタクシーが表示され、乗りたい場所をスマートフォンで指定すると、このうち最も早く着くタクシーが利用者のもとに向かうという仕組みです。

距離だけでなく、渋滞や周辺のタクシーの動きなどの情報を総合的に判断して最も早く着くタクシーを決めます。

開発した神奈川県タクシー協会と大手IT企業のディー・エヌ・エーはこのアプリを使ったサービスを4日、横浜市中区で公開し、交通量が多い通りで利用者がアプリを使うと、3分ほどでタクシーが到着しました。

このサービスの実用実験は4つのタクシー会社の200台が参加して今月12日から横浜市中区、西区など市内の一部の地域で行われ、アプリをダウンロードすれば誰でも利用できるということです。

神奈川県タクシー協会の石川治広報委員長は「今後2か月間の実用実験を通して課題を見つけ、利用者の利便性を高めていきたいです」と話していました。

このサービスは無料で、来年1月以降に県内全域での本格的な利用を目指すということです。
AI活用し効率的運用
今回、神奈川県タクシー協会が新たなアプリを導入することになった背景の一つに、深刻なドライバー不足があります。

タクシー協会によりますと、ドライバーの高齢化などによる人手不足で、県内では15年前に比べてタクシーの稼働率がおよそ15%低下しています。

開発されたアプリにはAI=人工知能が搭載されていて、AIが周辺のイベント情報なども考慮した需要予測を行い、ドライバーのスマートフォンには多くの利用者が見込まれる地域の情報が表示されます。

これまでドライバーは経験や勘に頼って客が集まりそうな場所に向かっていましたが、このアプリによってドライバーの数が少ない状況でも効率的にタクシーを運用することで、生産性を向上する狙いがあるということです。

タクシー協会ではAIを使って仕事の進め方を変えることで、タクシー業界への新規参入を促したいとしています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170904/k10011126531000.html